部下のマナーに唖然としたり、取引先で不快な思いをしたり。「どうなってるんだ!」と言いたくなる人間に出会うこともしばしば。あなた自身は大丈夫か。

マナーと営業トーク、落第企業がほとんど

私(嶋 基裕氏)が代表取締役社長を務めるアイランド・ブレインは、営業戦略立案から営業の実務・代行まで、BtoBの総合的な営業支援をすることで、企業の営業力を伸ばすお手伝いをする企業です。そのため、日本全国のさまざまな企業と取引がありますが、正直なところ、どこへ行っても「マナーがなっていない人」のほうが多いというのが現実です。

アイランド・ブレイン代表取締役社長 嶋 基裕
55業種・1000社以上の営業・販路開拓をサポートする営業支援事業を行い、3万件以上の商談実績を残す。著書に『崖っぷち父さんは、いかに戦略的にスーパー営業マンへ変身したか?』などがある。

肝心の営業トークに関しても、「自分の話したいことを一方的にまくし立てればいい」と思っているような話し方をする人がほとんど。「商談に来て一方的に話し続ける」営業マンの多さは、「無礼者ランキング」8位という結果からも察することができますが、営業に携わる者として非常に気がかりです。もちろん、「どこの誰なのか」がわからないままでは相手を不安にさせてしまうので、商談のはじめにある程度の自己紹介をする必要はあります。とはいえ、私に言わせれば、自社の概要やサービス内容について話していいのは、60分の商談中3分が限界です。それ以上続けたところで飽きられるのがオチ。その後は、自社のサービスを誘い水に質問して、とにかく相手に気持ちよく話させること。そうすることで、相手の隠れたニーズを引き出し、スムーズに商談を進めることができるのです。

それに気づかないまま営業を続けても、業績は伸びないままでしょう。しかし、営業トークは練習次第で磨くことができるので、良いお手本さえ見つかれば誰でも成長することができます。マナーの真の難しさは、求められるレベルがケース・バイ・ケースで変化するということ。つまり、一口に「マナー」といっても、その意味するところは場面によってまったく違い、マナー本を読んで基本を徹底することが正解ではないということです。挨拶、名刺交換にはじまって、商談の進め方、話し方、会計の支払い方までも含めてマナーです。その振る舞いは、雑すぎても丁寧すぎてもマナー違反。業種も事業規模も違うさまざまな企業に出入りしていると、そのことを強く実感させられます。