──中国人による「爆買い」が相場にもたらした影響は大きい。私たちはそこからどんな教訓を得られるのだろうか。独自の相場観と取材に基づいた銘柄選びに定評がある、フィスコリサーチアナリストの飯村真由氏に聞いた。

爆買いの恩恵も相次ぎ失速

アベノミクス相場の到来で円安が進行したことにより、日本を訪れる外国人観光客が急増。ここ数年で、インバウンド関連銘柄が一気に勢いを増しました。もっとも代表的な銘柄は、中国人観光客による「爆買い」の恩恵を受けた免税店の大手「ラオックス」でしょう。ツアー客を乗せたバスが1日に何十台も訪れ、家電や化粧品が売れに売れる……。テレビでもおなじみのこの現象により、同社の業績はV字回復。2014年12月期の黒字転換見通しが刺激となり、ラオックス株は14年8月に急騰を開始。従来の50円水準から約1年で10倍超も高騰したのです。

秋葉原で買い物をする外国人観光客。(時事通信フォト=写真)

しかし、15年7月の564円を頂点に、株価は減少に転じています。これは、チャイナショックを受けて、「爆買いブーム」が失速する懸念が広がったためです。実際、同社の業績は15年12月期の営業利益が前期比4.9倍の大躍進となったものの、16年12月期の営業利益は2桁の減益が予想されています。「中国の景況感悪化」「円高傾向」「業績の失速」という相次ぐマイナス材料により、株価は昨年の高値から約5分の1の水準まで下落し、いまだに下値を模索している状況です。

ですが、すべてのインバウンド関連銘柄の魅力がなくなったわけではありません。訪日外国人の増加によってホテル不足が深刻化していることにより、市場の関心は空き部屋に旅行客を有料で宿泊させる「民泊」へと移っていきました。昨年11月には、いち早く民泊参入を表明したアパマンショップHDの株価が民泊関連の筆頭銘柄として高騰。500円水準から約4倍も上昇し、今年4月には2000円を突破しました。