衆議院選挙で圧勝した民主党。鳩山新政権は順調な船出をしたかのようだが、果たして前途はどうなのか? 「脱官僚」を謳う政策の数々に、実は致命的な欠陥があるという。それは何か――。ずばり指摘する。

民主党・新政権で日本は変わるのか?

民主党政権が誕生した。この記事をご覧になる頃には、国会で首班指名が行われ、晴れて鳩山由紀夫・民主党代表が首相となっていることだろう。

民主党政権で、日本は変わるのか?私はいささか否定的な見解を持っている。そもそも、政策立案の入り口部分でズレていると思うからだ。

その象徴が、今選挙で発表したマニフェスト。私に言わせれば、バラマキ政策で華やかに飾り付けられたクリスマスツリーのようだった。月額2万6000円の子供手当、公立高校の無料化、農家の所得補償、高速道路無料化……社会主義政権と見紛うほどだが、極めつきは3年を目処に全国平均で時給1000円を目指すという最低賃金。すべて「富の創出」なくして「富の分配」のみを打ち出した、選挙対策用の愚策にすぎない代物だ。連立を組む社民党も、この最低賃金1000円を公約に謳っているから始末が悪い。

そこで今回は「富を創出する仕掛け」について考えてみたい。この連載で拙著『最強国家ニッポンの設計図』(小学館)の中で提示したアジェンダ(取り組むべき課題)について解説してきたが、「富の創出」も極めて重要なアジェンダになるからだ。

まず、私が提示したアジェンダについて、いま一度整理しておこう。

「国のカタチ」を定義する根本は憲法である。ところが現行憲法はその生い立ちゆえに構造が劣悪で、必要でありながら書かれていないことがたくさんある。そこで憲法改正とともに、新しい「国のカタチ」に関して、国論を二分する以下のようなアジェンダがあると考えている。具体的には、こうだ。