来客時など、女性スタッフにお茶を入れてほしいという局面はままあるもの。ところが、仕事に追われ右へ左へと忙しく動き回ったりしていると、声をかけにくい。へたに「お茶をお願い」などと言おうものなら、睨みつけられる可能性すらある。

「お茶出しをお願いされてムッとする女性の多くは、『どうして女だからといって頼むのよ』という抗議感を持っている可能性があります。この場合に有効なのが、男女ではなく個人を意識させること。『あなただから言っている』と伝える。つまり、『山田さん』などと、名前で呼びかければいいのです」

そう語るのは、NHKでのキャスター歴17年、「正統派スピーチ」指導の第一人者として活躍する矢野香氏だ。

「『お~い、お茶』という命令形はダメで『お茶を入れてください』という依頼形ならばOKと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、丁寧な依頼形にすることが必ずしも重要ではありません。だから、どちらもNG。名前を入れて、『山田さん、お茶!』で快く応じてもらえることも少なくないのです」(矢野氏)

この「あなた限定」の手法に加え「最初に『感謝』の言葉を伝えると、相手は断りにくくなる」とアドバイスするのは、『伝え方が9割』を上梓したコピーライターの佐々木圭一氏だ。

「『山田さん、いつもありがとう。大事なお客様なので、山田さんにお茶を出してほしいんだ』と言われれば悪い気はしないもの。感謝の言葉は人間関係をよくし、仕事全体がスムーズにまわるようになります」(佐々木氏)

また矢野氏は、お茶を出してもらった後のフォローこそが最も大切だと説明する。

「『茶碗の絵柄を正面に向けて出してくれるとはさすが山田さんだ』『山田さんが笑顔でお茶を出してくれたから、煮詰まっていた会議の場が和んだよ』と具体的に感謝すれば、『私の仕事ぶりを認めてもらえた』という気分になれるので、また次回頼んだ際にも、快く応じてくれるでしょう」(矢野氏)

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