映画監督
大友啓史さん

1966年、岩手県盛岡市生まれ。慶應義塾大学卒業後、NHKに入局。97年から2年間L.A.に留学、ハリウッドにて脚本や映像演出に関わることを学ぶ。帰国後、連続テレビ小説「ちゅらさん」シリーズ、「ハゲタカ」「白洲次郎」、大河ドラマ「龍馬伝」などの演出を手がける。2011年退局、ワーナー・ブラザースと日本人初の複数本監督契約を締結する。12年『るろうに剣心』、13年『プラチナデータ』、14年『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』2作連続公開。2016年は『秘密 THE TOP SECRET』と『ミュージアム』の2作を公開予定。
 

今、8月に公開される『秘密 THE TOP SECRET』の編集作業をしているところです(取材当時)。この映画は、死んだ人間の脳から過去の記憶を取り出して殺人事件の捜査に役立てるという、清水玲子さんの漫画が原作。ずっとやりたかった作品で、構想4年、脚本に3年ほどかかりました。11月には小栗旬君主演の『ミュージアム』が公開されますし、さらにその次の映画の準備も始まっているので、現在3本の映画に関わっているような状況です。脚本書き、撮影、編集作業と進行がすべて一緒だとしんどいですけど、作業が微妙に違うのでやっていけてますね。

多方面の方から「こんな映画をやってみないか」というお話をたくさんいただきます。『るろうに剣心』が当たったので時代劇やアクションものかなと思うと、不思議なもので「大友の初ジャンルのものを手がけたい」とのアプローチが多い。もともとNHKを辞めた理由が、こんなものをつくれば合格点、というゴールが見えてしまっていたからなので、ありがたい話です。あえて違った配給会社や知らないスタッフと組んだりして、ジャンルを固定せずにやろうと思っています。

「ヌッフデュパプ」は、食にうるさい地元の友達に教えてらったのが最初です。盛岡のお店に行ってたのですが、六本木に支店ができてからは、高校や中学の仲間たちで「ヌッフで集合ね」って集まったり。特に岩手の短角牛は赤身の肉で本当においしい。熟成されたいちばんいい状態のものを、いちばんいい焼き加減で出してくれます。一人でも利用していますよ。いつも「おいしいお肉とワイン」ってお任せで。僕、仕事以外のことは極力、決めたくないんですよ。監督って決めなきゃいけないことがたくさんあるでしょ。だからほかはできるだけ決めないようにしています。「じゃじゃおいけん」は盛岡のソウルフード「じゃじゃ麺」の専門店。学生のときにいつも食べていたので、無性に食べたくなるときがあるんです。アメリカでも研究して自分で作っていました。麺も味噌も盛岡のものとは違うこの店独自のものですが、それはそれでクセになる味。仕事が一区切りついたときとかに、ふと食べたくなって行きますね。

ふるさとって、僕がどんな失敗をしようが味方になってくれる人たち。成功も喜んでくれる。だから盛岡と結びつきのある場所が、僕的にはほっとできるんです。