退任前日、エレベーター前で会長の“送辞”

セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼CEOが退任したことで、様々な憶測が飛んでいる。だが、その中には多くの誤解が含まれていることは、ジャーナリストの勝見明氏がプレジデントオンラインで指摘している通りだ(鈴木敏文・セブン&アイ会長辞任の「本当の理由」http://president.jp/articles/-/17833)

会長兼CEOを退任した鈴木敏文氏(ロイター/AFLO=写真)

言うまでもなく、組織は、生き物。永久不変ではないが、確実に言えるのはひとりの偉大なビジネスパーソン&経営者として鈴木氏がその名を歴史に残す存在であるということだろう。「流通の神様」「コンビニエンスストアをつくった男」といわれる鈴木氏に学ぶべき点は何か。

「女性の目線、女性の感性を貫いた稀有な、男性経営者だと思います」

そう語るのは、内閣府の経済財政諮問会議の政策コメンテーターも務めるマーケティングライターの牛窪恵氏だ。牛窪氏は、以前から鈴木氏と交流があり、実は退任発表する前日にも面会していた。

その際、「将来のビジネス」に関して話し、面会を終えると鈴木氏は牛窪氏をエレベーターまで送り届けた。通常は、面会の部屋から鈴木氏が先に退席するのだが、この日は鈴木氏本人が丁重に見送りをしたという……。

「女の感性」がブルーオーシャンをつくった

以下、牛窪氏が述懐する。

<女性は、衣・食・住、あらゆる生活シーンで“当事者”として動きます。また家計を預かり「これを買う」といった決定をする権利を持つことも多い。それだけに、商品やサービスのコストパフォーマンスや使い勝手などに関して男性以上にうるさい面があります。

いわば、女性は常に「現場」の人です。だから、商品の具体的なイメージまでは明確ではないものの、「○○のようなモノがあれば買うのに」と何となく気づくことがしばしばあります。鈴木さんはそんな厳しい目を持つユーザーの、漠然としているけれど潜在的にあるニーズをすくい取ることができる嗅覚の鋭い方でした。

鈴木さんの名言のひとつに「お客さまになりきれ」というものがあります。顧客の傾向を数字で単に分析するのではなく、自分が客になれ。素人の目線になれ。そうすることで「次」が見えてくる。鈴木さんは常にそう社員に伝えていたと言います。プロ気取りの目はかえって邪魔になると。