ライバルに差をつけ、結果を出す“ペンディングノート”。月600億円の売り上げ記録をもつ野村証券の元営業マンが、作成法を明かす。

3カ月後に結果を出す方法

48歳のときに「日本最大のビジネスマッチングと顧客紹介の会社をつくろう」と決めて、ファーストヴィレッジを創業しました。以来、8期連続で増収増益を続けています。そんな私のビジネス人生は、何種類ものノートと密接に関わってきました。

新卒で入社したのは、厳しい営業で知られる野村証券です。最初に配属された仙台支店時代に編み出したのが、「ペンディングノート」という新規開拓用の営業記録ノートでした(写真を参照)。

私はこのペンディングノートのお蔭で、縁もゆかりもない仙台の地で、同期158人のなかでトップの営業成績を収めることができました。

つくり方は簡単です。使うのは市販のB5判ノート。飛び込み営業をしたときの感触や、各種のリサーチによって有望だと思われる会社をリストアップして、見開き1社で、その会社だけの項目を立てるのです。

まず左ページの上部に会社名を大書します。その下に来るのが、所在地や連絡先、代表者、創業年、売上高などの企業情報です。上場企業なら「会社四季報」の、未上場なら帝国データバンクなど民間調査機関のデータをコピーして貼り付けます。

営業時に持ち歩くノートですから、会社情報の下には事業所付近の地図を付けました。不慣れな仙台では、この地図が大いに役立ちました。当時は手描きでしたが、いまならグーグルマップをコピーしてもいいでしょう。

右ページは日付・電話・外交(訪問)・手紙・内容に分けて、営業をかけるごとに1行ずつ記入していきました。相手が不在だった場合も住所と名前を記し、会社に戻ってから手紙を書き、DMを同封して投函しました。

相手に会えた場合は、すぐにお礼の手紙を巻紙に書いて送り、電話で次回のアポイントを取りました。社長に会えなかったらペンディングノートの社名の横にピンクの印を、会えたら赤い印を付け、契約に至れば赤で旗印を書き入れます。新人時代は同じ会社を10回訪問するのは当たり前でした。

当時の野村証券は、新人に1日で200件の飛び込み営業と40枚の名刺集めを課していました。これを「時代が違う」の一言で片づけるのは間違いです。名刺を集め、可能性のある相手にはこまめに連絡し、先々のアポイントが入っていれば、3カ月先には一定の確率で結果が出ます。

繰り返しの訪問は地道で面倒なので、たいていの営業マンは途中で諦めてしまいます。事実、当社を創業して以来、3回以上訪問してきた他社の営業マンは1人もいません。