2014年6月に開かれたヒューマノイド(人型)ロボット「ペッパー(Pepper)」の発表会は、多方面から注目された。

ペッパーとともにステージに立った孫は「きょうは100年後、200年後、300年後の人々が、あの日が歴史的な日だと記憶する日になるかもしれません」と語っている。

しかし、ペッパーは突然現れたわけではない。10年に発表されたソフトバンクの「新30年ビジョン」では、ロボットの出現を農業革命、産業革命の次に続く情報革命だと、人類史上に位置づけている。そうすることで、「情報革命が起きるのは歴史の必然である」ということを聴衆に印象づけたのだ。

歴史と結びつける(ソフトバンク新30年ビジョン発表会のスライド)。

孫の有名な語録に「迷ったときほど遠くを見よ」があるが、30年後を描くには、前後300年の世界を考える必要があるという。

孫は11年度のソフトバンク新卒採用のための「孫正義ライブ2011」で、産業革命の段階的発展というスライドを使った。そこには18世紀初頭のイギリスで蒸気機関が発明され、紡績機や蒸気船が誕生、やがてアメリカで自動車が造られ、人々のライフスタイルが劇的に変化したことが示されていた。

では、300年後はどうなっているのか。ここで孫は、興味深いグラフを見せる。それは約300億個といわれる人間の脳細胞の数を、コンピュータのワンチップに入っているトランジスタの数がいつ超えるのかについて比較したものだ。

結論からいってしまえば、2018年の時点だった。50年先でもない。100年先でもない。あと4年でやってくるのだ。さらにこれを、300年分推論していくと“1垓(がい)”という数字が出てくる。この垓という単位は聞いたことがない人が多いのではないだろうか。1垓は10の20乗。1兆の1億倍だ。ほとんど想像の域を超えている。