世界最高峰の教育機関として名高いハーバード。「留学経験が不可欠」「天才が行くところ」といった印象だが、実際は必ずしもそうではない。識者とハーバード卒業生に、合格の秘訣を聞いた。

最初は英語で道も聞けなかった

東大工学部に加えて、ハーバード教育大学院を卒業という輝かしい経歴を持つ本山勝寛さん。もともと理系ながら、ハーバード教育大学院を目指した理由について、本山さんは次のように話す。

「きっかけは東大時代に体験した途上国でのボランティアです。この体験を通じて、教育支援や国際的な教育について関心を抱くようになり、自然な流れから、その分野でトップレベルの授業を受けられるハーバードを目指すようになりました」(本山さん・以下同)

本山勝寛氏●1981年、大分県出身。独学で東京大学工学部現役合格の後、やはり独学でハーバード教育大学院に合格する。その独自の勉強法を『ハーバード合格16倍速英語勉強法』(朝日新聞出版)などの書籍でも公開している。

そんな本山さんだが、ハーバード留学を決意した時点では、実は英語が大の苦手だったという。

「東大受験のときにはそこまで苦手意識はなかったんですが、大学に入ってからは英語の勉強はしなかったので、成績は英語に関していうと悪いほうでしたね」

ちなみに、本山さんは東大を卒業するまで海外に長期滞在した経験がない。東大卒業後には韓国留学を経て、ハーバード受験の準備を兼ねた短期の米国留学をしているが、その時点では英語で満足に道も尋ねられない状態だったという。

ハーバードの場合――というより、米国の一流大学・大学院は皆そうだが、ネーティブ並みの英語力がなければ、受験のスタートラインにすら立てない。

そのため、日本人でハーバードを含む米国の大学・大学院に進学するのは、圧倒的に帰国子女か長期の留学経験者で、もともと英語がペラペラという人が多い。

そんな中、本山さんは英語が苦手という大きすぎるビハインドを負いながらも、留学予備校などに頼らず、独学で合格を勝ち取っているのだから驚きだ。

ハーバードには、教科書を一度読んだだけで、すべて丸暗記できてしまうような天才も多い。が、本山さんは天才ではなく努力型を自認する。

「受験準備期間の約1年、ストイックにひたすら英語の勉強をし続けました」