「1cmも滑らせたくない」と開発

北海道の旭川駅から北へ車で約1時間走ると、剣淵町に着く。辺りは一面雪景色で、道は小高い山へ続いていく。その途中にプレハブ小屋があり、そこで道が鎖によって遮られている。その先にマツダの剣淵試験場がある。

マツダは北海道の試験場で雪上試乗会を開催した。

その試験場でマツダは12月11日、雪上試乗会を開催した。目的は新開発の「i-ACTIV AWD」技術を搭載した4輪駆動車を体感してもらうこと。用意した車は「アテンザ」「CX-5」「CX-3」「アクセラ」「デミオ」の5車種。

「われわれは1cmも滑らせたくないという思いで開発に取り組んだ。i-ACTIV AWD技術を搭載したマツダ車は他社の4WD車に対してアドバンテージを持っていると思う」と開発を担当したドライブトレイン開発部の八木康アシスタントマネージャーは自信満々に話す。

目指したのは人間の足の裏だそうだ。人間は視覚情報や皮膚で感じる温度、そして足の裏全体の感覚で道の状況を自然と読み取って安全に歩いて行く。もし足の裏が滑りやすいと感じたら、すぐに重心や歩幅などを変えて滑らないような歩き方をする。それをマツダはi-ACTIV AWD技術で再現したという。

「われわれのクルマは路面状態をさまざまなセンサーで取り込んでいます。例えば、前後のワイパー、外気温、ステアリングトルク、ステアリング角度、エンジン駆動力など27の情報を集めています。人間がきづかない微少なスリップも検知しています。そして、集められた情報を1秒間に200回の演算を行って、最適な運転ができるようにサポートします」と八木氏は説明する。

しかも、クルマが滑らないように適宜適量のトルクを後輪に配分するので、エネルギー損失という無駄も少ない。つまり、燃費がいいというわけだ。通常、4輪駆動車は2輪駆動車に比べて燃費が大幅に悪くなり、同業他社の場合、平均でその差は15%ほど。ところがマツダの場合は、すべて10%以下。なかには「CX-5」のように2%しかない車もある。

このようにi-ACTIV AWD技術を搭載したマツダ車は「安全な走り」と「燃費」を両立したクルマと言っていいだろう。