ひきこもり予備軍や働けない予備軍はいま確実に増加。ニートの高齢化も進んでいる。無職の子供を抱えるリスクは、どの家庭にもある――。
▼不安ポイント
・無職予備軍の「不登校」の小・中学生急増、約12万人に
・フリーター、派遣社員、家事手伝いも無職のリスク抱える
・無職の子供を支えるべき親の資産減少が露わに

自慢の子供たちが突如ひきこもりに

難関国立大を卒業後、銀行員となった兄。難関私立大を卒業後、証券マンとなった弟。両親の気がかりと言えば、40代になっても結婚していないことくらいだった。それがある日、原因がわからぬまま、兄が一歩も家の外へ出られなくなり、翌年には弟も同じ状態に。母は、近所の人に出会うと「最近、どうしたの?」と聞かれるので、それを避けるため買い物も夜中にこっそり出かけるしかなくなった――。

これはファイナンシャルプランナーである畠中雅子氏が目の当たりにした実話である。

「親御さんは、よもやこんな日が来るとは考えてもいなかったはず。特殊なケースと見られがちですが、ひきこもり予備軍や、働けない予備軍はいま、確実に増えていて、ニートの高齢化も進んでいます。無職の子供を抱えるリスクは、どの家庭にもあるのです」

文部科学省が発表した2014年度学校基本調査(速報値)によると、13年度の「不登校」を理由とする長期(30日以上)欠席者は、小・中学校合わせて約12万人。前年度と比べ、約7000人も増加しているのだ。不登校からそのままひきこもりにつながり、仕事に就けないケースも多い。

「就職難が続いた社会背景も見逃せません。たとえ仕事に就けても、やりたい仕事でないうえに条件も悪く、働き続けにくい状況が生まれています。フリーターや派遣労働者も無職予備軍。『家事手伝い』も隠れた無職です」

一方、親の財力も近年、子供を十分に守れるだけの力を失っているようだ。

「大学生の奨学金利用者は増え続けていて、いまや2人に1人。申請を希望する家庭は、3人に2人ともいわれています。大学の資金ですら支払えない家庭がそれだけ多いということです」

とはいえ、子供を救える一番手は親。親亡き後を見通した、具体的な子供のサバイバルプランを考える必要がある。まず、いつ立てるかがポイント。これは子供の年齢が40歳のときだ。

「30代までは、親御さんも社会復帰の望みを捨てたくないでしょう。また、お子さんが若いとプランが長期にわたって必要金額が高額になり、現実味が薄れます。ただし年金だけは将来子供が受け取れるよう、若いときから支払いが滞らないようカバーしてください」