クリエイティブクラスの労働観

ひとくちにグローバルエリートといっても、働く目的はさまざまです。とにかく上昇志向が強く、地位と権力を追求する人もいれば、早期リタイアするために若いうちに荒稼ぎしようとする人もいます。

ただ、実際に世界で活躍するエリートたちと一緒に仕事をしてみると、地位やお金のためだけに働いている人はそれほど多くないという印象を受けます。

彼らの関心事は、自分が社会にどのようなインパクトを与えられるのかということ。社会貢献というときれいすぎるかも知れませんが、ビジネスを通じて、さらにはビジネス以外のところでも何か社会に爪痕を残したいと考えている人が多いのです。

『グローバルエリートの仕事作法』(梅澤高明著・プレジデント社)

トロント大学のリチャード・フロリダが提唱した「クリエイティブクラス」という概念をご存じでしょうか。クリエイティブクラスは、一言でいえば知的労働階級です。たとえば学者や弁護士、芸術家、メディア従事者、さらに経営者もこの層に入ります。特徴は、創造的かつ革新的であること。与えられた問題をただ解くだけでなく、自ら新しい問題を設定し、それを解決していくクリエイティビティを持つ人たちです。

クリエイティブクラスの価値観は、グローバルエリートたちの価値観に通じるものがあります。クリエイティブクラスは創造性を発揮して社会に変革をもたらしますが、グローバルエリートのなかにも、社会を変革すること、社会を良くすることをモチベーションにしている人が多いと思います。