白紙撤回直後には新プランがあった!

高まる国民の批判を受けて白紙撤回を余儀なくされた新国立競技場の建設計画。政府は「(新整備計画は)アスリート第一」などとする方針を決定し、負の遺産からの脱却に躍起になっている。総工費が膨らみ、アスリート側からも批判された旧計画とは異なる異次元の新整備計画には期待が高まるが、9月からスタートする新計画の設計・施工の公募を前に舞台裏を探ると、初めから「総工費」ありきの見直しで、デザイン性や機能面を軽視した実態が浮かび上がった。

ザハ氏デザインの新国立競技場完成予想図。(時事通信フォト=写真)

安倍首相が2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場である新国立競技場の整備計画を見直すと表明したのは7月17日。内閣支持率急落の原因となった安全保障関連法案の衆院での強行採決直後だった。政界ではもっぱら「計画の撤回は国民からの批判をかわすため」(野党幹部)と見られているが、首相は「国民、アスリートから大きな批判があった」と釈明。当初、計画を大幅に超える2520億円にまで膨れ上がるとされた総工費を抑制していきたい考えを表明した。

これを受けて、遠藤利明五輪相と下村博文文部科学相はアスリートや有識者らを招いてヒアリングを実施するなど、新整備計画の策定をスタート。旧計画の極端な「デザイン重視」が世論の強い反発を招いたとして、今後はアスリートに寄り添う姿勢をアピールした。政府は新たな整備計画策定には1カ月以上かかると説明し、構想の練り直しを周到に行っている態度を見せてきたが、実はその概要は首相の白紙撤回表明直後にはできていたようだ。

「この際、総工費は約1800億円とすることでどうだろうか」。首相が「ゼロベースで見直す」と語った計画撤回から約1週間後の7月下旬、ひそかに政権の最高幹部は関係省庁に新プランを説明していた。「『とにかく総工費を下げたい』の一点張りだった」(政府関係者)という。