80億人へ向けてビジネスしよう

【ハーバードビジネススクール教授 竹内弘高(司会・ナビゲーター)】リンダ・グラットンさんは最新の著書『未来企業』で、今後数十年間に企業と仕事のあり方に大きな影響を与える7つのトレンドを提示しています。具体的にどんな変化が訪れるのでしょうか。

【ロンドン・ビジネススクール教授 リンダ・グラットン】世界は大きく変わりつつあり、今後数十年間にこの変化はさらに加速して複雑になるでしょう。私たちの生活に特に大きな影響を与えるのがテクノロジーとグローバル化です。たとえば2020年までに世界の50億人がインターネットで繋がると言われています。巨大都市圏や農村部でも進み、これまで存在しなかった「グローバルな意識」が生まれます。つまり、26歳の日本の若者とムンバイ、シンガポール、サンフランシスコの26歳の青年が繋がることで国境を越えた世代共通の意識が生まれるでしょう。

ロンドン・ビジネススクール教授、2013年ビジネス書大賞受賞
Lynda Gratton
(リンダ・グラットン)

グローバル化は社会、ビジネスに大きな影響を及ぼします。とくに新興市場では中間層が台頭し、小売業ではこれまでにない顧客層がいくつも誕生するなど、世界規模で勢力の均衡が崩れ、再均衡が起きるでしょう。とくに日本は高齢化という人口統計学的な変化も加わり、顕著な影響が避けられません。世界で最も進んでいる高齢化と出生率低下の中で、今から生まれる日本の子供たちは107歳まで生きるという調査もあるくらいです。

一方、世界が繋がることで負の側面として貧困と格差が広がります。また、仕事の内容も技術のイノベーションや定型業務の海外委託によって、中間層の仕事の需要が減る「労働の空洞化」が起こります。つまり高度で複雑なスキルとあまりスキルが要求されないウエーター、銀行の出納係のような仕事の需要は高まりますが、中程度のスキルが要求される真ん中の仕事が減るということです。世界の政府が介入しない限り、空洞化は避けられません。確実なのは、このままいけば先進国、新興国に関係なく貧富の格差が広がるということです。