少子高齢化で減り続ける生産年齢人口、リーダー不在に起因する国際競争力の低下――。このままでは、日本の国力は衰退の一途をたどるのみである。活気あふれる社会を実現し、日本を再生するためには何を行うべきか。東進ハイスクール、四谷大塚、イトマンスイミングスクールなど、幅広く教育事業を展開するナガセの創業者・永瀬昭幸社長に話を聞いた。

大胆提言! 第3子以降の出生に1000万円を支給せよ

――人口減少による国家消滅の危機を回避するため、独自の人口増加策を発表されました。
ナガセ社長 永瀬昭幸氏●鹿児島県出身。東京大学経済学部在学中から自宅アパートで塾を開く。1974年卒業後、野村証券入社。76年ナガセ設立。東進ハイスクールや東進衛星予備校などを全国に展開し、塾、予備校業界を牽引する。

【永瀬】「第3子以降の出生に対し、国が1000万円の育児資金前渡し金を支給する」というのが私の提言です。これによって年間100万人の出生増を実現できれば、50年後には人口2億人も期待できるようになります。

――国力は、まず人口増加からだと。

【永瀬】そうですね。人口の減少が国力を奪っていきますから。そのためには、大正時代から約50年間続いた年間200万人前後の約半数までに落ち込んだ出生数を回復しなければなりません。国立社会保障・人口問題研究所によると、100年後の日本の総人口は4286万人にまで減少するといいます(2012年発表「日本の将来推計人口」より)。信じられますか、現在のわずか3分の1ですよ。しかもそのままいけば、300年後には480万人まで減ると私たちは推計しています。もはや国家消滅の危機です。

――合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子供の数の平均)は現在1.42しかありません(14年)。

【永瀬】先日、独自に調査会社に依頼し、5000人にアンケートを行ったところ、夫婦が理想とする子供の数は2.7人でした。理想と現実のギャップが数字に表れています。なぜ理想通りにいかないのか。調査によると最大の理由は経済的な問題でした。子育て世代である20代、30代は、現実問題としてお金がない。だから2人目、3人目をあきらめてしまう。けれど、そんなときに国からの補助があれば、子供が欲しい夫婦にとっては踏み出す勇気となります。

――最近は出産祝い金の制度がある企業も増えてきましたが、金額の桁が違いますね。

【永瀬】100万円、200万円というお金では、確かにもらえればありがたいものですが、効果が小さいと思います。子供ひとりを一人前に育てるには、3000万円はかかりますから。