顧客、取引先、上司を怒らせてしまった。誰にでも起こる大ピンチ! ミスを帳消しにする謝罪で、以前より良好な人間関係を築ける人もいる。現代人にとって必須のライフスキル、「謝り方」を徹底検証する。

Q.

あなたはある企業の事務職の社員。取引先の役員宛てに書面で案内を送ったところ名前の漢字が間違っていたと連絡があった。すぐ謝罪に行っていったん問題は解決したのに、後日メールや電話で「やっぱりまだ納得できない」と連絡が。どうやら上司から「もっとしっかりクレームをつけろ」と言われた様子。どう収めればいい?
【A】「社内でご迷惑をおかけしているようですね。その方にも謝りたいので、一緒に謝罪に行っていただけますか?」と尋ねる
【B】「先日のお話と矛盾しているようですが……」と指摘する
【C】「もう解決しているはずですよね」と確認する

黒幕の存在を確認する質問とは

謝罪をして受け入れてもらえたはずなのに、なぜかその後に態度が豹変し、決着した話を引っくり返す人がいる。その原因はいくつか考えられ、1つは相手の性格である。

「対面して謝罪したときは『わかりました』と受け入れてくれたのですが、事務所に戻ると『さっきの態度は何ですか。到底、謝罪は受け入れられません』とメールが入っていたことがありました。面と向かっては言いたいことを言えない性格の人なのだと思います」(間川 清弁護士)

言っていることと心で思っていることが違う人に対しては、何回も会いにいくことだと間川弁護士は言う。人間は接触回数が多いほど好感を持つ傾向がある。短時間でもよいから会う回数を増やし、信頼関係をつくる。実際、このケースでは間川弁護士が何回も会いにいって解決した。

相手に話を引っくり返される2つ目の原因は「黒幕」の存在である。間川弁護士が経験した別の事例では、被害者が電話で怒鳴る人で、会いにいって謝罪をするとその場は収まるのだが、1日経つとまた怒りの電話をかけてくるということがあった。そこで被害者と知人でもあった加害者に話を聞くと、被害者の親戚で「もっと賠償金を取れる」と入れ知恵している黒幕がいることがわかった。

「こういう場合、表に立っている人だけを説得しても、入れ知恵されると振り出しに戻ってしまいます。このケースでは被害者の方にさりげなく誰か相談している人がいるのかを聞いて、『そういう方がいるなら私が弁護士としてお話をします』とお伝えし、その方とも直接話して解決しました」(間川弁護士)