書道家 
武田双雲さん 

1975年、熊本県生まれ。東京理科大学理工学部卒業後、サラリーマン生活を経て、母であり書道家の武田双葉を師事して書の道に。主宰する書道教室“ふたばの森”での講義が話題を呼び、企業や大学での講演のほかメディアに多数出演。NHK大河ドラマ「天地人」の題字をはじめ、スーパーコンピュータ「京」のロゴを手掛ける。著書も多く、自らのライフメソッドを記した『ポジティブの教科書』は、20万部突破。2月には『怒らない子育て』を刊行。
 

僕は、夫婦研究家なんです。夫婦関係に興味を持ったのは自分が結婚してから。男三兄弟で男前の母に育てられた僕と、姉妹で育った妻にはあまりに差がありました。「ティッシュを取って」という妻に元野球部の僕はいつも通り「へいへーい」って、箱ごと投げたんです。そうしたら妻の胸に当たり、泣き出してしまった。このときは何がいけないのかさっぱりわからなくて「俺、やってけないかも」と思いました。

そこから興味がわき、長年、いろんな夫婦に根掘り葉掘り質問して回っています。夫婦関係って、ビジネスにとってもすごく大事なんです。夫婦うまくいっていると、気持ちに余裕を持って出社できる。逆に、妻に尊敬されてなかったら格好悪くないですか。ビジネスでいくら成績を残しても、夫婦がうまくいってないようでは本当の成功ではないんですね。僕は“円満”って言葉が大好きなんですけど、仕事でも家庭でも大事なこと。これからは仕事で成功を目指す人ほど、夫婦のマネジメントが重要になってくる。最近、企業や大学での講演が多いので、夫婦関係の大切さを説いています。年配の男性なんて口を開けてポカンとしていますが、これからも、どんどん訴えていきますよ。

食事は、コミュニケーションの手段として大切にしています。家族はもちろん、仕事の打ち合わせなどで外食する機会は多いですが、本音をいいあえる家庭的な要素を感じさせる店は響くんです。

「しらすやガーデン」は、湘南にアトリエを開いて散歩中に何となく入った店。どの料理を注文してもおいしいのですが、僕を引き寄せたのはそれだけじゃなかった。流れる音楽、女将さんとの会話といった空気感が僕にぴったりで、まさにひと目惚れ。自宅周辺の店はほぼ網羅しましたが、15年も通っている店はここだけ。常に新しいメニューがあって「女将さん、いつもおいしい料理をありがとう」って感謝です。自宅のようにくつろげる店はそうないですね。

「パイニイ」は、子どもができてから立ち寄るようになりました。昭和の贅沢感、ノスタルジックな雰囲気は心癒やされますね。たっぷりの朝日を感じつつ、朝ご飯に焼き立てのパンを食べる。子どもと話をするには最高の場所です。

ご飯をおいしく食べようって気持ちは素晴らしい。「おいしいよね」のひと言が話せる円満な時間をつくることが、仕事、家族を問わず大切なのではと思います。