整体、リラクセーション店舗を企画運営するベアハグでは、本社、店舗とも、毎日、朝礼を行っている。赤坂本社では朝の8時50分から20分間、社長以下、経営幹部、店長が集まる。内容は次の通りだ。

(1)経営理念の唱和

(2)社長と参加者の対話

毎月、テーマをかかげ参加者のひとりがスピーチをする。それに対して、社長が「もう少し、具体的な説明を」「足りないところを向上させるには何をすればいいのか」と徹底的に質問する。対話を通して問題点をあぶり出し、みんなで解決策を考える。全員参加の業務点検とも呼べるアプローチだ。

手をつなぎながらのコミュニケーションは自分の気持ちを100%伝えることができる、と稲川社長。

手をつなぎながらのコミュニケーションは自分の気持ちを100%伝えることができる、と稲川社長。

(3)社員同士が手をつなぐセレモニー

全員が手をつなぎ、黙想し「ありがとう」と唱和して朝礼が終わる。毎日、手をつなぎ世の中に感謝をささげるうちに、とげとげしい気持ちがなくなり、人にやさしく接するようになるという。

このユニークな朝礼を考え出したのは、稲川貴久社長が恩人と慕う、コーチング会社「コーチ・トゥエンティワン」の伊藤守代表取締役だ。

稲川社長は「朝礼のおかげで社員は確実にやさしくなりました」と語る。

「今は不況です。お客さまはリストラや会社の将来に対する不安を洩らされる。うちの若い従業員が、うちの会社は大丈夫ですかと聞いてくることがある。そんな従業員には、朝礼の最後に、手をつなぎながら語りかけます。

『不安があるのはみんな一緒だ。でも、僕らはとにかくやさしくなろう。お客さまにはできるだけ、やさしく接しよう。やさしい気持ちで仕事して、それで会社が傾いたら、そのときはつぶれればいいじゃないか』

整体はお客さまに触れながら元気になってほしいと思うことが大切です」

稲川社長が言うように、疲れた人の心と身体を癒やすことができるのは、人間の気持ちだけだ。

(尾関裕士=撮影)