孫正義氏がこれまでに経験したタフな場面をケーススタディの形で完全再現。
あなたは正しい判断を下せるだろうか。

Q. 後継者はどうやって確保するべきか

事業継承は、創業者が必ず直面する大きな課題だ。自分以上に自分の会社を知っている人間はいない。その思いが強いほど、後継者は頼りなく思える。A案は、苦楽を共にしてきた自社の人間を選ぶ。B案は、出自にはこだわらずに一番適した人間を選ぶ。
【A】自社内で育成する【B】社外から募集する
(正答率90%)

ほとんどの企業は、後継者を自社内で育てています。業務内容や企業文化をよく理解しているわけですから、自社内から逸材を選び育てられれば、それに越したことはないでしょう。ただしソフトバンクでは、社内外、国内外を問わずに、一番適した人を見つける最大限の努力をしたいと考えています。

社内の人間を超える人材が、もし世の中にいるのなら、門戸を開き、チャンスを与えて、多くの志を共有する皆さんに集まっていただいて、その中から後継者を育てたい。いや、育ってほしい。それが僕の思いです。

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ソフトバンクアカデミアに集まった精鋭300人

2010年7月、ソフトバンクアカデミアを開校しました。アカデミアとは、プラトンが紀元前4000年頃につくった学校のことです。この学校は、その当時の王様や将軍など、次世代の統治者を育成することを目的につくられ、主に哲学を教えました。ソフトバンクでも、次の時代を担う統治者、経営陣を育てたいと考えています。

後継者の条件は3つ。1つ目は、情報革命のテクノロジーに対する深い洞察力を有すること。2つ目は、必要十分なファイナンスの知識と能力。3つ目は、強いリーダーシップです。そして、3つの条件のベースとして、情報革命に対する高い志、深い愛情がなくてはいけません。

生徒300人のうち、200人はソフトバンクグループからの選抜で、残り100人は社外からの選抜です。後継者を育てていくため、十数年をかけて、直接私が指導をしていきます。