プロデュースした人 糸井重里(コピーライター/「ほぼ日刊イトイ新聞」編集長)

もともと、メモは原稿用紙の裏に取っていたんです。でも、それだとバラバラになってしまい後々読み返せない。メモ帳を持ってみても、使ったりやめたりで続かない。文庫本にマジックでメモをしていたときもありましたね。見た人はウケてくれたんだけど、裏写りもするし、当然、実用的ではない(笑)。それならば、「自分たちの使いたい手帳を作ろう」と思い立ったのが、「ほぼ日手帳」のはじまりです。メモだけでなく、カードを入れるスペースもつくって、持っていれば昼食ついでにミーティングもできてしまうような、それ一つですべてが完結するものを目指しました。

まずは、考えたことや覚えておきたいことをメモするために、「1日1ページ」と決めた。僕もそうですが、ほとんどの人がこの手帳を、スケジュール管理としてではなくメモ帳として使っています。「誰々に会う」「どこどこに行く」というスケジュールは他人のもので、それで手帳が埋め尽くされるのはつまらないけど、書き留めて覚えておきたいことは自分のもので、そういう自分のアルバムになるようなものを作りたかった。

同時に外せなかったのが、24時間目盛り。初代のほぼ日手帳を発売した2002年ごろ、僕は深夜まで予定をビッシリ書くことがカッコいいと思っていたんです。でも、24時間目盛りは今のように等間隔でなく、方眼紙のマス目のサイズも感覚的に決めた4ミリでした。

もちろんマス目は無視して自由に書いてもらっていいんですが、徹底的に見直そうとして、2009年版よりグラフィックデザイナーの佐藤卓さんに入ってもらい、最終的には3.7ミリで落ち着きました。その前に3.45ミリにしていたのですが、ユーザーにアンケートを取ったら「ちょっと小さい」という声が多かったんです。