日本のことを正しく発信する必要性

三宅義和・イーオン社長。

【三宅義和・イーオン社長】今回は、英字新聞「The Japan Times」の編集担当執行役員の大門小百合さんにお話をうかがいます。インターネットの普及に伴い、今やどこにいても世界の情報に簡単にアクセスできます。海外の情報を取得したり日本の情報を発信したりする上で、「英語力」は不可欠な武器と言えるでしょう。その英語力を磨くにあたり、英字新聞は大きな役割を持っていると思います。ジャパンタイムズは日本を代表する英字新聞ですが、創刊はいつなのでしょうか。

【大門小百合・ジャパンタイムズ執行役員】1897年、明治時代です。

【三宅】明治時代! 私はまだ、生まれていない(笑)

【大門】そうですね(笑)。ジャパンタイムズは日本で現存する一番歴史のある英字新聞です。創刊したのは、いわゆる「文明開化」によって、西洋の文明が日本に入ってきて、制度や習慣が大きく変わったころです。外国から見た日本は、まだ侍文化が終わったばかりで、近代化が進んでいない。そのような時代に、「日本のイメージをしっかりと伝えたい」と、慶応義塾大学創設者の福沢諭吉の親戚であった山田季治と初代内閣総理大臣伊藤博文の秘書だった頭本(ずもと)元貞の2人が、ジャパンタイムズを始めました。資金面では、シッピングカンパニー(船会社)のように海外に事業展開する会社と財界などが協力したと聞いています。「日本から英語で発信する」というのが、参画する人たちの共通の思いだったのでしょう。

【三宅】「日本のことを正しく発信する」ということは今の時代もますます必要になっていると思います。

【大門】日本と海外には言語の壁があります。その壁は大きく、相互理解の妨げになっています。だからこそ、英語できちんと発信するということは重要な役割なのです。

【三宅】日本人も、在日外国人も、ジャパンタイムズを読んでいます。その割合はどのようになっていますか。

【大門】読者のだいたい7割は外国人です。日本人が3割くらいです。今はネットでも読まれていますが、ネット経由の読者もだいたい同じ割合です。海外からの閲覧も多いです。

【三宅】海外でもネットだと読める。

【大門】そうです。昔は日本に住んでいる在日外国人のための新聞だったのですが、今は世界中で読んでいただいています。「日本」をキーワードにアクセスが世界各地からあります。