「自覚症状がなければ、悪い数値でも慌てる必要はない」と生活習慣総合研究所所長の工藤医師。
まずは自分の健康診断表を見直すことから始めよう。

心臓の病気が気になるケース

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注目するのはこの検査項目

Aさん 55歳
身長(cm):168.5
体重(kg):78.3
BMI指数:27.5
腹囲(cm):92.0

建設関係の部長職。休日出勤や残業も厭わない仕事人間。几帳面な性格ゆえにストレスがたまりやすい。ストレスの解消は、食べ歩きと酒。タバコは1日1箱ペースで35年目。

doctor's check――レントゲンや心電図検査が重要
心疾患でチェックする検査項目は心電図に異常はないか、胸部レントゲン写真に心肥大の兆候は表れていないか、血圧やコレステロールの状態などです。疑われる場合は精密検査となります。これには心臓超音波検査、24時間心電図検査、心臓から血液に分泌されるホルモンを量るBNP血液検査などがあります。

全身へ血液を送るポンプの役割を担う心臓。1985年以降、心疾患は死因別死亡率はがんに次いで第2位で、現在も増加しつつある疾患の一つである。その大部分を占めるのが、心臓に十分な血液を供給することができない状態(虚血)になる「虚血性心疾患」の狭心症と心筋梗塞。

心臓は心筋と呼ばれる筋肉が収縮と拡張を繰り返し、血液を全身に送り出している。心筋は極めてパワフルな筋肉だが、それは冠動脈から供給される酸素や栄養があってのこと。冠動脈にコレステロールがたまったり、動脈硬化が起こると、血液の通り道が狭くなってしまう。

狭心症はこうして心臓に送られる血流量が減少した状態。いわば心臓の貧血のような現象であると考えるとわかりやすい。狭心症の症状は、発作が起こり、心臓に痛みを感じて、息切れや呼吸困難に陥る。いずれの場合も、安静にしていると5分ほどで回復することが多い。

しかし、これを放置していると冠動脈が完全に詰まって心筋へ血液が流れなくなる危険性がある。これが心筋梗塞だ。心筋梗塞の発作は、激しい痛みを伴い、30分以上も発作が続くこともある。