「中東」より「アラブ」のほうが狭い

イスラム教の聖典である『コーラン』の原典はアラビア語で記されているが、そのアラビア語を話す人々が住む国々のことを「アラブ」と呼ぶ。

『面と向かっては聞きにくいイスラム教徒への99の大疑問』佐々木良昭著 プレジデント社刊

アラビア半島全域とイラク、シリア、レバノン、パレスチナ、ヨルダン、そしてエジプト、スーダン、リビア、アルジェリア、チュニジア、モロッコ、モーリタニアが含まれている。

その「アラブ」に住んでいるのがアラブ人だ。

したがって、隣接する国の中でトルコとイラン、さらにイスラエルとアフガニスタンは「アラブ」には含まれない。

これらの国々の公用語はそれぞれ「トルコ語」「ペルシャ語」「ヘブライ語」「パシュトー語(ダリー語)」であり、そこに居住しているのはあくまでもトルコ人、イラン人、イスラエル人、アフガニスタン人なのである。

そして、アラブにこれらの国々を加えた地域の総称を「中東」と呼ぶ。おわかりのように、「アラブ」よりも「中東」の方がより多くの国々を包含していることになる。