毎年恒例の日本テレビ「24時間テレビ『愛は地球を救う』」。欧米ではハリウッドスターや歌手たちがチャリティーイベントに無償で参加するが、同番組では司会やランナーに高額のギャラが支払われている。そのことについて擁護派と批判派がネットなどで侃々諤々やりあうのも、もはや見慣れた風景だ。

タレントのギャラのために募金しているのではないという気持ちは理解できる。ただ、募金活動にはお金がかかるという現実もある。たとえば日本ユニセフ協会は、募金収入の18.5%(2013年度)を募金活動や啓発活動などに使っている。このように、人件費を含めた活動費を募金から捻出している団体は少なくない。チャリティー番組でタレントに支払うギャラも、より多くの募金を集めるための必要経費と考えれば許容範囲だという考え方もできる。

とはいえ、活動費と称すれば何でも許されるわけではない。12年、難病の女児を救うといって募金活動していたNPO法人の理事らが逮捕されたが、被害総額約1160万円のうち、実際に女児の父親に渡ったのは13万円。集めたお金の99%以上が本来の目的以外のものに使われた計算だ。はたして、正当な募金活動と詐欺の境界線はどこにあるのか。奥村徹弁護士は、次のように解説する。

「活動費が何%を超えたらアウトという境目はありません。詐欺になるのは、最初から難病患者などに役立てるつもりがないのに、そう偽ってお金を募った場合です。募金の9割を経費として使っていても、その内容が正しく、あらかじめ公開されているなどして、募金者が納得して払っている限り、詐欺になりません」

もっとも、募金が本当に公表された通りに使われているのか、募金者が調べるのは難しい。なかでも厄介なのが、街頭募金だ。1人あたりの募金額が少額でチェックが甘くなりやすい。振り込め詐欺と違ってATMの記録にも残らない。警察にとっても、被害を特定しづらい街頭募金詐欺は悩みのタネだった。