日本滞在を楽しんでもらうガイドの役割

三宅義和・イーオン社長。

【三宅】日本を訪れる外国人観光客が増えています。日本政府観光局の統計によると、東日本大震災が起きた2011年は前年比約3割減の622万人でしたが、14年は1341万人になりました。初めて1000万人を超えた2013年(1034万人)に続き、2年連続で最多を更新しています。まさに、「『おもてなし』の取り組み」や、「日本の魅力をいかに伝えていくか」が、非常に重要になってきています。そのような中、観光ボランティアグループ「TOKYO FREE GUIDE」(以下、TFG)は、訪日外国人旅行者を一人ひとりのニーズに合わせて案内されています。今回は、TFGの理事長・川本佐奈恵さんに、お話をうかがいます。

TFGの活動の狙いは何でしょうか。

【川本】ガイドを通じて日本の文化や日本に暮らす人々をより深く知ってもらう機会をつくり、外国人観光客に日本滞在を最大限楽しんでもらう、というのが活動の目指すところです。

【三宅】04年の設立です。どのような経緯から事業をスタートされたのでしょうか。

【川本】設立者でもある前理事長の経験がきっかけになっています。外国から友達が日本に来たのですが、「自分は仕事があって時間が取れない。誰かほかに案内してくれる人はいないだろうか」と。また、私たちも外国に旅行に行ったとき、「プロのガイドまでは必要ないけれども、ちょっと案内してくれる現地の人がいたらいいのに」と、思うことはありませんか。

【三宅】「お友達」のような人が一緒に回ってくれたら、とてもうれしいですよね。

【川本】最初は、その設立者の彼女と友だちの計4人で、観光ボランティア事業を始めたそうです。10年にNPO法人となりました。

【三宅】何カ国語に対応していますか。また、年間何人くらいのゲスト(外国人観光客)を迎えていますか。どこの国からのゲストが多いのでしょうか。

【川本】ガイドの対応言語は、英語、スペイン語、フランス語、イタリア語、韓国語、中国語などです。これまでに87の国・地域からのゲストがTFGを利用してくださっています。TFGのサイトが英語なので、ゲストも英語圏の人や英語の情報にアクセスできる人が多いです。昨年は9274件のリクエストをいただきました。家族で訪日する際に利用していただくケースが多いです。

【三宅】どのようなガイドの依頼が多いですか。

【川本】大きく2つに分かれます。ひとつは、ガイドブックに載っている定番の観光ルートを案内してほしい、というもの。もうひとつは、ガイドブックには載っていないところ、たとえば居酒屋などに自分たちだけでは行きづらいから案内してほしい、というものです。

【三宅】外国人観光客は「地元の人たちの生活を知りたい」と思っているのでしょうね。

【川本】そうです。商店街やデパ地下などを案内するととても喜んでもらえます。