大切なのは死ぬほど働くフリ?

生命科学的視点に立つと、男性は「サバイバルスキル」と「オーダー」を重視すると考えられます。サバイバルスキルとは、狩猟採集時代において、獲物を獲ってきたり、外敵から家族を守る能力のこと。この能力の優れている男が生き残り、配偶者として女性から選ばれ子孫を残すことができた。だからこの能力を否定されると男性は著しく傷つく。逆に肯定してもらうと非常に嬉しいものです。現代に置き換えると、「あなたの営業戦略やプランニングは正しいですよ」と言ってもらうことがサバイバルスキルの肯定になるため、男性上司であれば、そういった部下をまず大事にしたくなる。

また、オーダーとは秩序、順位のことです。狩りに出かける男は、チームワーク、つまり最も優秀な男が指示をし、他がそれに従うことが重要だった。このとき、最も優秀な男は、より多くの遺伝的価値の高い配偶者を得られたでしょう。そのため、「あなたは私よりも優れている」と言われると安心するんですね。要するに、部下が「あなたは私のリーダーで、私はあなたに忠誠を誓います」ということで男性上司は安心して動くことができるんです。

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男と女では生物学的に重視する能力がまったく違う!

これが女性の目には、ゴマすりに弱いと映りがちなのだと思います。一方で、昔から採集と子育てを主な仕事としていた女性は個々の「役割」と「公平性、平等性」を重視するものです。一緒に木の実をとり、子どもを育てて協力し合わないと生きていけない。その場で会話を重ねながら「あなたはこの役割ね」と分担を決めていく、リーダーのいないコミュニティが女性の世界だったのでしょう。ですから、女性は役割をはたしていないのにひたすら上司に媚びるだけの部下や、そういった部下をあからさまに贔屓する上司には強く反発を覚えます。

ただし、やはり組織で勝つための戦略として女性部下にとってもゴマすりは必要です。自分の戦略を肯定してくれて、序列を乱さないと思った瞬間に信頼の入り口に立て、男性上司を動かすことができるんですから。