金融危機以降、大きくは増えていない日本のお金持ち。だがその中身は変わった。富裕層研究の第一人者たちが彼らの素顔を明らかにする。

スイス留学なら年間1000万円も

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新興国に比べて日本は富裕層世帯の割合が小さく、「住みづらい」?

かつて商売とは夫婦や家族単位で手掛けるものだった。妻が経理を担当するなど、パートナーとして創業時から支えてきたケースもよく見られた。しかし最近の超富裕層の場合、ビジネスと生活とを分けて考える人が多いという。とくに2代目、3代目にはその傾向が強く、当主の妻や嫁たちは会社とは距離を置き、もっぱら家庭を切り盛りするのが一般的だ。したがって子どもの教育を主導するのも圧倒的に母親であり、その意味では一般家庭と変わらない。

ただし、大きく異なるのが予算規模。子どものために効果があると判断すれば、彼らは費用を気にせずあらゆることに挑戦する。たとえば英語や国際感覚を身につけさせるための海外留学。一般の感覚では大学や大学院を想像するが、超富裕層の場合は幼稚園から海外に行かせるケースもある。

「たとえばオーストラリアやカナダ、シンガポールといった英語圏の国に母と子で滞在して、現地の幼稚園に通わせます。もしその国の生活環境や教育が合わないと感じたら、国を変えて、また別の幼稚園へ行かせるという方もいらっしゃいます」(NRIの宮本弘之・上席コンサルタント)

全寮制の寄宿学校も人気である。ロゼ校などスイスの名門寄宿学校や英国のイートン校、ハロウ校といったパブリック・スクールが代表的だ。こういった学校へ進学させれば、世界に通用する教養や語学を身につけさせることができるうえ、クラスメートとの付き合いを通じ、各国の富裕層との交友が期待できるというメリットがある。