ウイスキー2割値上げの衝撃

急速に進んだ円安を背景にした輸入原材料価格の高騰などから、食品類の値上げラッシュがとまらない。「企業努力の限界を超えた」が値上げに踏み切る企業の常套句だ。しかし、他の製品と比べて極端に大きな引き上げ幅と、さらにその理由といい、サントリーによるウイスキーの値上げが「どうにも腑に落ちない」との指摘が挙がっている。

ウイスキー国内最大手のサントリースピリッツ(旧サントリー酒類)がこの4月、国内で販売するウイスキーを希望小売価格で平均約2割という極めて高率で値上げするからだ。国内ウイスキー販売は、折しも国産ウイスキーの生みの親でニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝をモデルにしたNHK朝の連続ドラマ「マッサン」の人気もあって、追い風に乗っている。

しかし、サントリーの値上げが、せっかくのマッサン効果に水を差す恐れも否めない。同社は4月からの値上げの理由として、新興国を中心としたウイスキー需要の高まりと、「アベノミクス」が誘導した円安が重なり、原材料価格が高騰した点を挙げる。価格を引き上げるのは、同社ウイスキーの代名詞である高級品「響」やシングルモルト「山崎」「白州」と、輸入するスコッチウイスキーのシングルモルト「マッカラン」「ボウモア」などに限られる。

価格的には「山崎12年」の場合、税抜きで7000円から8500円と、1500円もの大幅値上げとなる。しかし、炭酸水で割るハイボール向けの普及品「角瓶」「トリス」などの銘柄は価格を据え置く。国産品の値上げは2008年以来6年ぶりで、輸入品に至っては一部を昨年3月に値上げしたばかりだ。前回値上げから原材料調達費が6~7割上昇した点を値上げ理由に挙げる。