風邪の季節の到来です。インフルエンザも気にかかります。

内科医で予防医学が専門の川村昌嗣医師によると、1人の患者がドアノブに触って、あるウイルスをつけたら、2時間以内には、そのドアから出入りする人の半数近くに付着したとのデータがあるそうです。この強い感染力を持つ菌やウイルスを体内に入れないために効果的なのは、手洗いとうがいの励行です。

でも、実はこのうがいも「やり方が間違っていると、ほとんど効果がない」と川村医師は言います。

まず、気をつけなくてはいけないのは、顔や首の角度。皆さんは普段、どのようにうがいをしているでしょうか? 一般的には、真上を向いてガラガラとしている方が多いと思います。

しかし、これで洗えるのは、のどの正面だけ。ここはいつも飲み物や食べ物が通るので、菌やウイルスも流れてしまってキレイな所です。むしろ正面よりものどの横側こそ汚れや菌が付着したままになりやすいのです。

「うがいをしながら首の角度を変えて、むせるところがあった場合には、菌やウイルスが炎症を起こしている場所に水がヒットしている証拠。汚れた粘液を洗い落とすために効果的な角度です。右斜め上を向いてうがいをしたら、次は左斜めを上にして、落ちてくる水の勢いも利用しましょう。左右両方を洗ってください」

次に時間。掃除のとき、こびりついた汚れにサッと水をかけただけでは落ちません。同じようにのどの汚れも時間をかけて洗い流さなくてはならないのです。

「できれば1~2分かけて左右2回くらいずつ洗ってほしい。おすすめは、うがいをしながら歌うこと。歌を歌うことでガラガラ音に高低差が付き、周波数が変化してより効果的に洗浄できます」

そして、うがいをするときは、ぬるま湯が効果的だそうです。

「感染して組織内に入った菌やウイルスを退治するのは白血(リンパ)球。白血球は菌などを捕食してライソゾームという袋に取り込み、リゾチームなどの酵素で溶かします。こうした酵素反応は39度ぐらいで効率的に働くので、うがいをするなら、冷水ではなくぬるま湯がいいのです」

炎症箇所に消毒薬を吹き付ける方法もありますが、濃度が濃すぎるとかえって粘膜を傷め再生細胞を阻害してしまうので注意が必要です。

最後にコップの取り扱い。「口を付けた場所に菌やウイルスが付くので、使い終わった後や、使う前に必ず、口を付ける場所をこすって洗うようにしましょう。せっかくうがいで予防しても、身近にいる家族同士で移し合ってしまっては台無しです」

さあ、正しくうがいをして、元気に冬を乗り切りましょう。

(教える人:川村昌嗣(川村内科診療所所長))
【関連記事】
娘のスカート丈が短すぎるとき、どう注意すべきか
シャンプーで洗うのは「髪」ではなく「頭皮」
脳が目覚める3ステップ講座
できる子の家で読まれている本50冊
テストの成績は「朝食の中身」で決まっていた!(前編)