転職が当たり前となった現代、部下のキャリアパスに貢献しない上司の下からは、優秀な人ほどさっさと去っていくものだ。それを未然に防ぎ、エースをつなぎとめる3つの方法を伝授しよう。

社員の市場価値を高めない会社は離職率が高まる

最も高い業績をあげていた部下の1人が辞職した。転職先に自らのキャリアを伸ばす機会があるからだという。この会社の社員は過去3年間研修やキャリア開発の機会を十分与えられておらず、ほかの部下にも引き抜きの手が迫る。これはあなたの会社のことではないだろうか?

終身雇用が過去のものとなった今、社員は自らの市場価値を高めるスキルを身につけたいと願っている。人材市場が逼迫するなか、能力開発の機会を提供できない企業は未来のリーダーを失うリスクが高い。

優秀な社員を引き留めるには、上司が彼らの能力開発に積極的に取り組む必要がある。その方法の1つとして、『Head, Heart & Guts: How the World's Best Companies Develop Complete Leaders』 (2006)の著者であるデイビッド・L・ドットリッチとピーター・C・カイロ、スティーブン・H・ラインスミスが編み出した、3方向からのリーダー育成法を紹介しよう。

このモデルを実践している上司は、部下、会社、そして自分自身にも大きな利益をもたらしている。離職率が低下し、業績も向上しているのだ。このモデルでは、次の3つの方向から部下の能力開発に取り組む。