男と同じように指導していいのか、どうしたら成果を出してくれるか。「先進企業の管理職たちが」女性マネジメントのコツを伝授する。

内容の違いより与え方の違いに目を向ける
富士ゼロックス●森本 聡さん

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私が営業部門にいた頃の話です。補助業務を担当するアシスタントの女性社員や派遣の女性社員がたくさん働いていました。新しく来た女性に仕事を依頼する際、私はその仕事の意味をきちんと伝えるようにしていました。こんな具合にです。「営業はお客様の課題を解決したり、新しい価値を提供したりしなければならない。そのためにはしっかりと考える時間が必要だ。その時間をつくり出すために、あなたが必要なんだ」と。

もしこうした説明もなく、細かな仕事を次々に依頼するだけだったら、彼女たちも「どうせ雑用担当だから」と臍を曲げ、働く意欲をなくしてしまっていたかもしれません。でも私の言葉に納得してくれたのか、そうはなりませんでした。

結論を言うと、男性と女性で向く仕事に違いがあるわけではない。むしろ同じ仕事であっても、女性の場合は依頼の仕方が重要で、それによって成果に大きな違いが出てくるのではないでしょうか。

現在の部署では営業やSEを教育するトレーナーの育成を行っています。部下の3割が女性ですが、やはり男性と比べて仕事の意義や意味合いを確認しようとする傾向が強い。うかつに、「必要だからとにかくやるんだ」と言うと総スカンを食らってしまいます。

男性の場合、上から言われたら「仕方ない」となりますが、女性は違います。いまの部署のミッションは営業ならびにSEの強化なので、新しい仕事がそこにどう結びつくのか、いままでの仕事と何がどう違うのかを説明すると、納得し、真面目に取り組んでくれます。男性の部下に対してももちろん必要ですが、リーダーは特に女性の部下に対して、自分の言葉でこうしたメッセージを伝えるべきです。

女性の部下を持つようになって痛感するのですが、女性は男性上司の心の中をよく見ています。何かあってもごまかせると思ったら大間違いです。意味のある話をきっちりしてくれる上司なのか、口はうまいけれど頭の中は自分第一、部下なんて自分の手足だと思っている上司なのか。あなたが不幸にも後者だと思われたら、どんな仕事を与えてもうまくいかないでしょう。

森本聡●富士ゼロックス
営業・SE力強化センターセンター長

「営業のノルマは平等・働くママ率35%」