Getty Images=写真
Getty Images=写真

スカイマーク代表取締役社長 西久保愼一(にしくぼ・しんいち)
1955年、大阪府生まれ。神戸大学卒業。会社員時代を経て85年にネット関連会社を設立。2003年にスカイマークの筆頭株主に、04年に社長就任。


 

上海~茨城を4000円で結ぶなど、アジアの超格安航空会社(LCC)が話題を集めているが、国内線格安航空会社として知られるスカイマークが、国際定期路線への進出を発表して注目されている。世界最大の旅客機「A380」を15機導入。食事を有料にするなどのコスト削減で、大手航空会社の半額程度の航空料金を実現する構想だ。

同社は、徹底したコスト削減で赤字続きのJALやANAと違って、2011年3月期の業績予想を91億円の黒字に上方修正するなど、2期連続で好調な業績を維持している。

そのスカイマークを率いてきたのが、西久保愼一社長だ。航空業界では異色の経歴を持つ。1993年に明治乳業から1000万円で買い取ったパソコン通信事業は、インターネット接続会社「ゼロ」へと発展。株式を上場させ、ピーク時には時価総額1000億円の企業に育て上げた。IT業界に見切りをつけたのは、2003年に経営不振に陥っていたスカイマークの増資を個人で引き受けたのがきっかけ。筆頭株主となり顧問に就任。翌年、社長になった。

航空業界は、航空会社が自由に発着枠や路線、便数を決められる「オープンスカイ」導入が検討されており、大競争時代への突入前夜。同社のA380導入に「正直、驚いた」と伊東信一郎全日空社長がコメントしたように、業界関係者には青天の霹靂だった。

1機280億円の航空機購入は、同社にとって大きな賭けだ。パイロットや整備士の手配、運航先の発着枠問題、そして今年4月には操縦室内での記念撮影などが発覚して「特別安全監査」を受けるなど、解決しなければならない問題が山積している。それでも、果敢に国際線進出を目指す西久保氏のチャレンジ精神は、経営再建中の日本航空も見習うべきかもしれない。

(Getty Images=写真)