日本を圧倒した韓国パワーの源泉

銀3つ銅2つ、合計5つのメダルを獲得したバンクーバー冬季五輪の日本。前回のトリノ大会(荒川静香の金メダル1つ)や前々回のソルトレーク大会(銀1、銅1)よりメダル数こそ増えたものの、同じアジア勢である韓国や中国の活躍と比べると、日本の地盤沈下ぶりを痛感させられる結果だった。

国別のメダル獲得数を見てみると、金メダルを一番多く獲得したのは地元カナダ(金14、銀7、銅5)で、開催国の気合が結果に表れた。2位ドイツ、3位アメリカ、ノルウェーは常連のメダル大国。同じ大国でもロシアはメダルの数を大きく減らして前回4位から11位に後退。メドベージェフ大統領の怒りを買って、ロシアオリンピック委員会の委員長はクビになった。それでも金3、銀5、銅7でメダルの数は15。金なしのメダル5つで「大健闘」の日本とは大違いである。

金メダル獲得数上位ベストテンには、ノルウェー、スウェーデン、オーストリア、スイスなど人口1000万人以下の欧州の小国が並ぶ。その一角に食い込んで金メダル6個(銀6、銅2で計14)で5位に躍進したのが韓国だ。

今の韓国は国家としてのバイオリズムが非常に高く、すべてがいい循環でまわっている。1990年代後半にIMF(国際通貨基金)占領軍に大きくプライドを傷つけられた金大中政権がIT化と国際化という明確な戦略を打ち出し、盧泰愚政権で一時期は混迷したが、12年後の現在、IT化とグローバリゼーションをより強力に推し進める李明博政権の登場(2008年)で花咲き始めた観がある。

発足当初の李明博政権はBSE問題で躓いて支持率が低迷した。しかし、国のバイオリズムが好循環に入ってくると、李明博という企業経営者から転身した「経済大統領」の役割の大きさを改めて感じる。金融危機に際しては陣頭指揮に立って危機の克服に努め、韓国経済をスピード回復させた。韓国企業を世界に売り込むトップセールスにも熱心で、先般、アラブ首長国連邦アブダビの原子炉建設プロジェクトでも、日本企業を出し抜いて韓国の企業連合が受注した。

今や李明博政権の支持率は7割近くに達し、対抗馬になる政治家もいない。メダリスト一人一人と握手する李大統領の姿は国民から好感を持って受け止められているのだ。