ベストセラーを連発し、セミナーや講演活動などで多忙な毎日を送っている経営コンサルタントの神田昌典さん。4年前、悪性黒色腫(メラノーマ)と診断され、一度は人生を閉じることを覚悟したといいます。いくつもの幸いが重なって、病気は完治しました。その過程で自分に合った治療法を徹底的に調べ、試したそうです。神田さんが、プレジデント社刊『がんが自然に治る生き方――余命宣告から「劇的な寛解」に至った人たちが実践している9つのこと』(ケリー・ターナー著、長田美穂訳)の原書Radical Remissionを、邦訳が出る何カ月も前に洋書トライアスロンでとりあげてくださったと聞き、本書をどのように読まれたのか、お話をうかがいました。

――どうやってご自身で治療計画を立てたのでしょう。

僕は東洋医療も西洋医療も含めてあらゆる治療法を試してみようと、インターネットでかたっぱしから調べました。西洋医療のなかでも最先端の免疫自助療法まで全部試しました。その過程ではずいぶん混乱させられましたね。東洋医学の専門家は薬を飲むな、手術はするなと言うし、最先端医療の専門家は伝統医療なんてやめておきなさいと言うし、伝統医療の専門家は最先端医療なんて受けるくらいならうちに寄付をしたほうがいいと言うんです。かなり高額の最先端医療をうけたときに、「あなたの腫瘍はこの治療でいちばん治りやすいということが証明されている」と言われたのですが、別の患者さんにもまったく同じことを言っているということがわかりました。ショックでしたよ。よくできたセールストークだったんです。医療現場の現実をしっかり見せていただきました。

――手術はされましたか。

幸いなことに、左脇のリンパ節にあった僕の腫瘍は、次の検査のときになくなっていました。この腫瘍が悪性だったら、指を切断することになっていたでしょう。先生からは「強運としかいいようがない」と言われました。ひとまず転移がなかったので手術はしなくてもいいと言われましたが、悪性度の高いものに違いはないので黒色腫の部分はとりました。僕のクライアントである病院の皮膚科部長がいたので、どこまでだったら自分の体で「人体実験」できるか、彼と相談しながら最後は自分で決めました。とってみたところ、僕のメラノーマは真皮の下まで到達していたのですが、その部分はメラノファージといって、悪性ではなかったのです。