孫正義氏がこれまでに経験したタフな場面をケーススタディの形で完全再現。
あなたは正しい判断を下せるだろうか。

Q. プロ野球球団を持つべきか

2004年末、ダイエーが経営難からホークス球団を身売りに出した。そこで選択。A案は、球団運営コストがあまりに高いこともあり本業に専念する。B案は、球団所有は自社のブランドイメージを老若男女のユーザーに宣伝できる媒体と判断し買収する。
【A】本業に専念する【B】必要な投資として実施
(正答率99%)
2010年リーグ優勝を果たしたホークス。戦力を増強し、日本一を狙う。

会社の本業以外には手を出さないほうが賢明だと言う人もいれば、資金が許すなら積極的に投資すべきという人もいるでしょう。ソフトバンクが福岡を本拠地とするホークスをダイエー(正確には興行権を所有していたコロニー・キャピタル)から買収したのは04年末のことでした。

なぜ買収したのか。理由は、僕が野球好きだったからだけではありません。確かに小学4年の頃から暇さえあればバットにボールの野球小僧でしたが、事業家としての戦略も当然持っていました。株主の皆さんからお預かりした大事なお金を使って経営しているので、無駄遣いは許されません。では、その大義とは? 僕は以前から「いずれ携帯電話事業をやろう」と腹の中で決めていました。

そのためには、「ソフトバンク」というブランドを国民的スポーツ・野球というブランドに直接重ね、認知度やイメージをアップするのが最善策と判断したのです。

ブロードバンド事業の重要なコンテンツにもなると考えました。02年から水面下で打診はしていたのです。