大手通信3社とは距離「SIMフリー」で首位へ

台湾のパソコン大手、ASUS(エイスース)は2014年11月、日本のスマートフォン(スマホ)市場に初めて参入した。第一弾の「ZenFone(ゼンフォン)5」は価格が約3万円とiPhoneの半額以下。さらに大手通信3社ではなく、楽天やIIJなど「格安スマホ」を展開する事業者と組むことで、新しい市場の開拓を狙う。同社の創業者である施崇棠(ジョニー・シー)会長に聞いた。
──他社に比べてスマホ市場への参入が遅れた。なぜ、いま参入するのか。
ASUS会長 ジョニー・シー氏

【施】コンピューティングは、場所を選ばずにどこでも使える「ユビキタス」という方向に進んでいる。我々はその流れをいちはやく掴み、ノートパソコンに参入し、タブレットも展開した。携帯電話をつくるため、無線通信の研究には以前から取り組んでおり、特許も数多くもっている。世界でスマホが重要な媒体になり、すべての人に、受け入れやすい価格で、最高の価値を提供できる環境がようやく整った。

──大手通信3社はiPhoneを大きく値引きしており、「低価格」はセールスポイントになりづらい。

【施】流れは変わりつつある。「SIMフリー」で3社以外の通信事業者と組むことで市場を開拓できると考えている。特に日本では高齢者の多くが従来型の携帯電話を使っており、まだスマホをもっていない。チャンスはある。まずは日本の「SIMフリー」の端末で、シェア首位を獲りたい。

──ASUSは2008年に約5万円のノートパソコン「EeePC(イーピーシー)」を売り出し、「ネットブック」という市場をつくった実績がある。今回のスマホ参入も同じ考え方か。

【施】我々は時代の先を見越したイノベーションをつくることを得意としている。「EeePC」は、どこでもインターネットにつながる環境が整ったとき、どんな端末が必要か、というところから発想した。我々はつねにテクノロジーから商品を発想する。なぜなら我々はエンジニア集団だからだ。