児童数は4割減だが教員数はほぼ横ばい

今年10月、財務省が公立小学校の1年生で導入されている「35人学級」を「40人学級」に戻すよう求める方針を示したことが波紋を拡げています。財務省の財政制度等審議会はその理由として「いじめや不登校などで目立った改善が見られない」と説明しましたが、予算を削られる側の文部科学省はもちろん、多くの教育関係者が強く反発しました。

教育関係者らの反発の背景には、学校現場は人手不足に喘いでおり、教員の労働環境がブラック化している、という認識があります。学校教員向けサイト「EDUPEDIA」が去年12月に行ったアンケート調査では、公立小中学校教員342人のうち6割が月51時間以上残業しており、9割以上が「教員数が少ない」と感じているという結果が出ています。また文科省の調査によると、教員の精神疾患による休職者はこの10年で約3倍となっています。

結局、11月には自民党の文部科学部会が財務省の方針に反対する決議案をまとめました。財務省筋も「この議論は問題提起。削減ありきではもともとなかった」として、無理をしてまで「35人学級」を取りやめる考えはないようです。

しかし、「学校現場が人手不足だ」という主張はそのままではのみ込めません。なぜなら少子化で児童数は減少しているのに対し、教員数は横ばいだからです。

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児童は減っても、教員は減らず

文部科学統計要覧によると、1980年の小学校に通う児童は約1182万人だったのに比べて、2013年は約667万人と、4割以上も減っています。一方で、小学校教員数は80年の約46万人に対し13年は41万人と、1割程度の減少に留まっています。教員1人当たりで見た場合、80年の25.27人に比べて13年は15.99人であり、そもそも教員が受け持つ子供の数は少なくなっている現状があります。

2013年の文部科学白書では、「学習指導要領の着実な実施」に向けた支援策の一環として、「教職員定数の改善」や「補習等のための指導員等派遣事業」が項目として掲げられていますが、具体的にどこまで改善すべきなのか、根拠が明らかにされていません。