僕だって、時々誘惑に負けてしまう

無理に我慢せず、失敗してから本当に必要なことを考えよう<br><strong>宮崎県知事 東国原英夫</strong>●1957年9月16日生。宮崎のセールスマンとして県政に奮闘する傍ら、政府の行政支出総点検会議「無駄ゼロ会議」の委員を務めている。
無理に我慢せず、失敗してから本当に必要なことを考えよう
宮崎県知事 東国原英夫●1957年9月16日生。宮崎のセールスマンとして県政に奮闘する傍ら、政府の行政支出総点検会議「無駄ゼロ会議」の委員を務めている。

人間生きていれば欲と背中合わせ。男なら誰だってかわいくて素敵な女性とお付き合いをしたいと思うのが正常でしょう。僕も人間ですから欲に負けそうなときだってあります。

僕は、挫折をするたびに次なる飛躍への準備をすることができました。1度目の謹慎では小説『ビートたけし殺人事件』を書いて、のちにベストセラーとなりました。2度目の謹慎中には早稲田大学への受験勉強をしました。中学生のレベルまで戻って一から勉強をしたのです。地方自治やマニフェストの勉強も、この不遇の時代がなければしなかったでしょう。私は言わば体で覚えて成長していくタイプのようです。想像力の豊かな人は、「これをやって失敗したらこうなる」と予測して、リスクを回避するのでしょうが、僕は不器用で実際に失敗しないとわからないタイプです。

もし自分が誘惑に弱いと考えるなら一度失敗して学ぶのも一つの道。失敗のたびに悪い方向に行ってはいけません。ピンチは最大のチャンス。これをプラスに活かさない手はありません。失敗したときに自分がどう動くのかに、その人の能力や人間性が表れます。

社会とは、清廉潔白ではありません。いろいろなものがゴチャゴチャと混ざり合った濁った川のようなものです。当然、誘惑も多い。ですから、無理に我慢せず、そもそも自分にとって本当に必要なものは何なのか、そこから考えてみてはどうでしょう。僕がまず選んだ方法は走ることでした。走っていることがおもしろくて仕方がない。煩悩を我慢するのではなく、小さな煩悩よりもっともっと快感が得られるものに出合ってしまった。自分の価値観を転換して、もっとおもしろいものへと移っていくからこそ、こうやって楽しく続けられるのです。雑多な日常を忘れて、無我夢中で走っていると、生きるのに最低限必要なものがわかります。まず空気と水。それと食料、睡眠、休憩……といったものが残り、とりあえずカネとか肩書なんて必要なくなります。