文法は詰め込むな“染み込ませ”なさい

いきなりだが、下にあげた10の日本語を英語に訳してみてほしい。(※解答は本文末)

[1]彼は彼女に親切です。
[2]あの少年たちは毎日この公園に来ますか?
[3]これは誰の自転車ですか?
[4]彼はどのようにして学校に行きますか?
[5]僕は冷たい飲み物が欲しい。(somethingとcoldを使って)
[6]彼女はこの町に10年住んでいます。
[7]なぜ彼女はそんなことをしたのですか?(whatで文を始め、動詞makeを使用すること。そんなこと=such a thing)
[8]この机は誰によって作られたのですか?(受動態)
[9]彼はどこへ行くべきかわからなかった。
[10]彼らが訪れた村は地図にない。(be on the mapを使って)

「全問正解は厳しいと思われるかもしれませんが、いずれも中学で習う基礎的な単語・文型を用いて作る問題です。これに詰まる人が、いきなりTOEICの対策本や問題集を始めても、手が合わないでしょう」

TOEIC対策を教えてもらいたいとやってきた人に「中学英語からやり直しましょう」と言うと、大抵は唖然としたり、不満気な表情を見せるという。しかし、ここを疎かにしては、先がない。

「付け焼き刃でも速読の練習を積めば、あるいは100~200点程度の上積みは可能でしょう。でも、伸びるのはそこまで。早晩、基礎の脆さが露呈して、結局はこのレベルをやり直す羽目になるんです。逆に、ここできちんと基礎固めができれば、ゆくゆくは700点、800点と、どんどん上を目指していける」

森沢洋介先生いわく、スコアアップは「土台に固定したゴムを、引っ張って伸ばしていく」イメージ。土台をしっかり、高い位置に築くことで、高い位置までラクに届かせることができる。ここははやる気持ちを抑えて、中学英語[文法]のテキストを用意しよう。

人によっては「学校英語は苦痛だった。よりによって文法からやり直すのか……」と、暗澹たる気分になっているかもしれない。