もはや会社員でも相続税とは無縁でいられない――。こんな話を耳にしたことがあるだろう。その理由は、相続税法が改正され、2015年1月から適用されるからだ。

なかでも影響が大きいのは基礎控除の縮小だ。基礎控除とは、相続が発生した際に、財産から差し引くことができる金額のことをいう。改正後はこの金額が4割減となるため、新たに相続税の対象となる家庭が続出するというわけだ。

同時に税率アップも行われる。富裕層には影響が大きい。受け取った財産が3億円を超える場合、現在、最高税率の50%が適用される。これが15年からは細分化され、3億円超6億円以下は50%で変わらないものの、6億円を超えると55%の税率が適用される。

一方で減税も実施される。一つは「小規模宅地等の特例」だ。これは自宅用や事業用の土地の相続税評価額を8割減にするもの。その対象となる面積が拡大される。また、二世帯住宅への適用要件も緩和される。

教育資金の一括贈与非課税制度もある。これは13年4月からすでに実施されている。祖父母などから最大で1500万円の教育資金を非課税で贈与が受けられるという制度だ。

親の資産を少しでも有利に引き継ぐためには、改正の内容を十分理解し、対策を講じておく必要がある。