PRESIDENT NEXT vol.1(プレジデント社)

「君は、いい上司かい?」

そう聞かれたら、あなたはどう答えるだろうか。考えあぐねて、こう思うに違いない。

「そもそも、いい上司って何だ?」

この本質的で、答えの出しにくい疑問にヒントをくれるのがピーター・ドラッカーだ。「経営学の父」「ビジネス・コンサルタントの創始者」と称され、伊藤雅俊(イト―ヨーカ堂)、飯島延浩(山崎製パン)、柳井正(ユニクロ)、中村邦夫(パナソニック)、酒巻久(キヤノン電子)など、あまたの名経営者に支持されてきたドラッカーは、どんな人物を「いい上司」と考えたのだろうか。

米国カリフォルニア州にあるドラッカー・スクールで、生前のドラッカーやその思想を受けつぐ教授陣から学び、現在はコンサルタントとして活躍する藤田勝利さんに聞いた。

自分自身や組織の人たちを創造的にする

――ドラッカーはどんな人物を最高の上司と考えていたのでしょう。

みなさんも感じていると思いますが、マーケットは瞬く間に飽和し、企業はいつもイノベーションを必要としています。企業において、社会の変化をとらえ、それを機会にイノベーションを起こすべき人は誰でしょう。社長でも、マーケッターでも、研究開発のリーダーでもありません。ドラッカー教授の答えは、「社員一人ひとり」です。彼が唱える「マネジメント」とは、「上司が部下を管理する」という意味ではありません。ひとことで表現するなら、「自分自身や組織の人たちを創造的にすること」です。

社員一人ひとりがいきいき仕事をし、創造的であることが何よりも重要だとドラッカー教授は言っています。持続的な利益を生むためにも、それが大事だと。どうすれば、人間は創造的になれるのか。ドラッカー教授は、たったひとつの行動を私たちに求めています。それは、「問う」ということ。自分の商売は何か。自分の顧客は誰か。もっとも価値を届けたい人は誰か。そして、自分の強み、仲間の強み何か……。

組織として結果を出せないマネジャーの多くは、部下の弱みに目を奪われて、彼らの創造性を引き出せないでいます。ある企業の幹部がこんなことを言っていました。

「日本の会社では、入社面談では強みや資質が問われるが、入社後は弱みをいかに是正するかが問われる」

もし、ドラッカー教授にいい上司の条件を教えてくれと問うたなら、まずは「弱みより強みに注目する人」と答えるでしょう。

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