一方に名義変更でトラブルを回避

持ち家を購入する際、共有名義には大きなメリットがあります。住宅ローンを組むときに、夫婦の収入を合算することで、より多くのお金を借りられるからです。また、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる可能性もあるので、買い方としてはお得です。

しかし、「一緒に頑張って返済していこう!」と誓い合った仲良し夫婦でも、十数年後に離婚の危機を迎えることは往々にしてあります。そんなとき、共有名義がさまざまな問題を引き起こします。

まず、ローンが完済できているかどうかが運命の分かれ目。完済していれば、問題は財産分与の方法ということになるので、さほど経済的にダメージを受けることにはなりません。ただし、長く住み慣れた家にどちらが住み続けるかで揉めるケースはありますが。持ち家を処分して現金を分け合う方法もあります。

問題はローンが残っている場合です。債務額にもよりますが、売却益が出る物件なら、ローン完済後、残金を夫婦で折半すればいいだけの話。また、売却で完済できなかったとしても、債務分割して双方が払える程度の金額ならまだマシです。

深刻なのは、持ち家を売却しても、多額な債務が残る場合です。こういう場合、共有名義のままで妻と子供がそのまま住み続け、別れた夫がローンや養育費を払い続けるケースが多いですね。ただ、夫の収入減、再婚で新しい家族ができたなどで返済不能に陥ることもあります。すると連帯債務者である妻にも催促がきて、払えなければ競売のために立ち退きを迫られることになりかねません。

ローン残額や、夫婦の支払い能力、物件の資産価値などで異なりますが、共有名義は後日のトラブルを避けるため、極力離婚時に、一方に名義変更しておきたいところですが、これがなかなか難しいのが現実です。