2014年3月末の運用ポートフォリオ 出所:年金積立金管理運用独立行政法人

今年6月、安倍政権の成長戦略として、年金積立金管理運用独立行政法人(以下、GPIF)の運用ポートフォリオを見直し、国内株式の比率を引き上げる「GPIF改革」を、運用委員長の米澤康博・早大教授が発言し、物議をかもしている。

これは、現在のポートフォリオで17%あるともいわれる国内株式の比率を数%上げるというもの。約130兆円という巨大資金が数%動くのだから、株式市場への影響は甚大だ。背景には、政府がデフレ脱却による国債の値下がりからの影響を減らすことや、株価の操作のために公的資金を利用したいという思惑がある。

実際に考えられる株式市場の動きについて楽天証券経済研究所客員研究員・山崎元氏は「予想では9月前後に運用計画の発表があるだろう。株式の運用比率は5%程度上がるのではないか。短期的な影響としては、株価が上がり、日経平均は2万円に達するかもしれない。ただ企業の価値に連動した株価上昇ではないため、数カ月から1年ほどで終わるのではないか。長期的にはGPIFが大株主になることによる政府からの圧力が問題になるだろう」と話す。経営者としては、自社株買いや社外取締役の積極登用など、経営への政府からの介入の可能性が高まることに注意が必要となるだろう。

(ライヴ・アート=図版作成)
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