安価な戸建て分譲住宅を供給

住宅購入を考えるとき「パワービルダー」という言葉をよく耳にするようになった。戸建て分譲住宅を供給する有力な住宅会社の総称で、成長率の高さなどから注目を集めるようになった。大手ハウスメーカーとの違いは、主に土地付きの戸建て分譲住宅を手掛け、アパートの家賃なみの月々の住宅ローンの支払いで戸建て住宅を手に入れられるという価格戦略にある。

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断トツ1位のパワービルダーが出現

2013年、パワービルダー大手の飯田グループ6社が経営統合。6社分を合算すると年間供給量は2万6000戸規模。木造注文住宅の大手、住友林業やローコスト系の注文住宅のタマホームなどがおおむね年間1万戸規模なので、供給戸数では大手を上回る存在になっている。

戸建て分譲住宅とは、いわゆる建売住宅のこと。バブル経済の崩壊後、企業が社宅や工場だった土地を手放し土地供給が潤沢になったことから、これを安価に仕入れ、住宅を建てて販売する戸建て分譲住宅が注目されるようになった。戸建て分譲住宅は以前から存在したが、品質に難があり、入居後に床鳴り、クロス切れといった不具合が出るなどクレームが多発したため、規模拡大が進まない業態だった。1980年代から90年代の建売住宅は、「安かろう悪かろう」の世界だった。

戸建て分譲住宅の品質向上に寄与したのは、住宅の柱や梁などの構造材を加工するプレカット工場という専門の木材加工業が発達したことと、そこで使われる木材の質が向上したことだ。木造住宅は大工が現場で木材を刻んで建てるというのは昔の話で、いま、多くの現場ではプレカットの構造材を組み立てるだけである。

機械加工を効率よく行うために、木材には寸法精度の高い人工乾燥材(KD材)または構造用集成材が求められるようになった。いまや木造住宅のプレカット率は9割以上、構造材も7~8割は構造用集成材かKD材を使うように変わっている。このような生産システムが普及・確立したことから、自社で生産体制を持たない住宅会社でも住宅を大量供給できるようになったのだ。