法的に排除できる不法占拠の「占有屋」

不動産物件を市場価格より安く買う方法は2つある。競売と任意売却(任売)だ。「競売物件」は、市場価格の40~65%、入札者がいなかったために「特別売却物件」となったものであれば30~50%になる。任売の場合は競売より割高で、70%前後が多い。しかし、「競売」というと多くの人は、「競売物件は相場より安い。でもキケン。素人が手を出すものではない」という印象を持つのではないだろうか。

確かに競売の多くは、担保権の実行により、市場では流通せずに裁判所を介して売却されるもので、何らかの瑕疵や事情があるのは事実。とくに、不当な立ち退き料などを要求して不法に居座る占有者の存在があった。しかし、民法395条の改正で短期賃貸契約制度が廃止され、こうした不法居住する「占有屋」が排除できるようになった。さらに民事執行法82条の改正で、所有権登記と同時に抵当権が設定できるようになり、落札した物件を担保に住宅ローンを組めるようになった。

ところで競売物件の情報は、どこで入手できるのだろうか。これまでは、最高裁判所が運営する「不動産競売物件情報サイト」、通称BITにアクセスするしかなかった。BITは誰でも全国の競売物件情報を無料で閲覧、ダウンロードできるが、その情報だけで物件の価値を一般人が読み取るのはなかなか難しい。

ところが競売物件の専門サイト「981.jp 不動産競売物件情報センター」にアクセスすれば、BITに掲載されている物件情報とともに、賃貸した場合の予想利回りなどでランク付けした物件の情報が公開されている。が、これはあくまでも物件情報にもとづく分析結果であることを頭に入れておくべきだ。というのは、競売の不動産には執行官が現地に赴き、各種調査をして作成した物件明細書などがあるが、調査日は入札開始日の数カ月前で、その後の状況の変化については書かれていない。このため、入札を決断する前に必ず現地に足を運び、環境、建物、占有者の有無の3点は調査するべきだ。