レアジョブ 中村 岳
1980年生まれ。東京大学工学部卒業後、NTTドコモを経て2007年、加藤智久社長とともにレアジョブを設立。12年7月より、代表取締役COO。

僕は草野球をやっているのですが、仕事でも野球でも向き合い方は一緒で、いつもチームの中でいちばん役に立てるポジションにいたいんです。やりたいのはピッチャーでも、「自分がやりたいからやる」というのはちょっと違うと思っています。自分がピッチャーをするのは他に自分よりも良いピッチングができる人がいない時の話で、キャッチャーがいなければキャッチャーを喜んでやる。いま自分が所属しているチームにおいて、最も貢献できる場所にいることにこだわっているんです。

だから、僕は創業当初から「サービスを自分が作りたいから作る」っていうようなアーティスティックなセンスはまったく持っていないですね。

例えば友達から結婚式の二次会の出席サイトを作って欲しいと頼まれて、作った後「ありがとう」とお礼を言われて、実際みんなが使ってくれる――。そういう素朴な他者に対する貢献、自分が作ったものが誰かに使ってもらえて役に立っている、と感じられることが純粋に楽しい。もちろん自分のやりたいことがそこにフィットすれば最高ですが、必ずしもそのことに強いこだわりはありません。それが僕の仕事観ということになるように思います。

社長の加藤とは開成中学からの同級生なんです。当時から仲の良い方ではありましたが、彼は高校時代から大前研一さんの一新塾に行ったりしていて、ただでさえ変わり者の多い開成の中でも個性的だったという印象があります。普通の高校生であれば部活や勉強に打ち込むところを、政策塾に入塾していたわけですから。しかも史上最年少の塾生でしたからね。

一方で僕は比較的、部活にちゃんと入って、普通に勉強して――というタイプでした。大学を卒業して入ったのもNTTドコモなので、その意味では将来一緒に事業をやるとは想像はしませんでしたよね。