「自分たちで独自のものをつくって勝負していく!」……。社員が生き生きと働き、元気がある企業にはこうした特徴がある。東海3県の元気ハツラツ企業を徹底レポートする。

利益率10%以上。APECの首脳が視察

「3年に一度の海外旅行など、福利厚生も充実させていますので、辞めていく人はほとんどいなくなりました」と話す金田光夫社長。

「うちは伝動や制御のための小さな部品をつくっていますが、基本的には下請けビジネスはやりません。NBKというブランドをつくるために、自分たちで部品を開発し、つくって売ります。これがわれわれの生き方で、小さな部品でもNBKのロゴを入れています」

こう話すのは鍋屋バイテック社長の金田光夫氏だ。同社は創業453年の歴史を誇る会社だが、その本社と工場は非常にモダンな建物で、老舗企業という印象をまったく与えない。しかも、緑に囲まれた敷地内には美術館やプールまである。同社ではここを「工場」と呼ばずに「工園」と呼んでいる。

これは前社長の岡本太一氏の発案によるもので、「社員がモノづくりに誇りの持てる会社、ゆとりのある工場にする必要がある」との趣旨でつくられた。それ以前の同社は工場も汚く、社員たちには希望もなく、職人としての誇りもなかったという。新入社員が30人入社しても、年末になると1~2人しか残らなかった。しかも、仕事のほうは小さな市場を十数社で奪い合っていて、非常に厳しい状況だった。

本社工場に隣接した工場のライン。1個でも、素早く、どこにでも届けられる多品種微量生産が行われている。

このままでは社員も会社ものたれ死ぬと考えた岡本氏は、制服をカラフルなものにするなど職場環境を変えるための取り組みを次々に実行し、同時に多品種微量生産への転換を図ってブランド力の確立を目指した。その集大成ともいえるのが工園だったわけだ。現在、その工園には毎年数千人もの見学者が訪れているという。2010年には、APECに参加した各国の大臣が視察に来たこともあった。

もちろん、見学者は工園だけを見にやってくるわけではなく、そこで営業利益率10%以上を確保するためにどのようなモノづくりが行われているかを見に来るのだ。しかし、理解するのは難しいだろうというのが金田氏の感想だ。