2020年、女性課長30%達成で日本は滅ぶのか

女性社員を役員や管理職に登用する動きが企業に広がっている。三井住友銀行やみずほ銀行で初の女性執行役員が誕生したほか、野村信託銀行では初の女性社長、大和証券グループ本社でも生え抜きの女性取締役が誕生した。

役員だけではない。イオングループは現在10%の女性管理職比率を2016年までに30%、2020年までに50%にする計画を発表。NKSJホールディングスもグループで3.4%の比率を2015年度末に10%、2020年度末に30%にする目標を掲げている。

こうした女性登用ラッシュの背景にあるのは昨年4月、安倍首相が経済界に対して行った以下の要請だ。

<「2020年30%」の政府目標の達成に向けて、全上場企業において積極的に役員・管理職に女性を登用する。まずは役員に1人は女性を登用する>

 

つまり、2020年までに課長職以上の女性比率を30%にしなさいというものだ。

そしてこの数値目標は昨年6月に閣議決定した成長戦略にも盛り込まれ、いわば国家目標になった。その趣旨は少子高齢化による労働力人口が減少する中で潜在的資源である女性の力を、経済成長を支える原動力にしようというものだ。

それはそれで結構なことであるが、果たして30%達成は可能なのか。

2013年の民間企業の課長相当職以上の女性比率は7.5%にすぎない。20年までの7年間に2.5倍以上に引き上げなければならない。

客観的に見ても無理筋な数値としか思えない。それでも安倍首相はやる気なのだろう。今年1月の世界経済フォーラム会議(ダボス会議)でも「2020年までに、指導的地位にいる人の3割を、女性にします」と発言。世界に大見得を切った。そして昨年から今年にかけて全省庁を挙げて目標達成に向けた政策の実施や企業への働きかけを強化している。