家族手当を「出さない」企業のほうが多くなった

東京都の「中小企業の賃金・退職金事情」を見ると、「家族手当を支給している」企業の率は、約30年前の1982年は83%だったが、2002年72%、2007年64%、2013年56%と年々下がってきている。

景気低迷や給与の成果主義移行などに伴い、家族手当や住宅手当など諸手当を廃止する企業の動きは止まりそうもない。

家族手当の歴史を紐解くと、その始まりは大正時代となっており、その後徐々に導入する企業が増えた。昭和時代になると、戦時色が強まって「産めよ、増やせよ」という国策のもとに、政府が民間企業の賃金体系まで統制し、家族手当の支給を民間企業に義務付けることまで行った。

そうした経緯のなかで戦後になっても多くの企業が家族手当を支給し、いってみれば日本的な給与制度の象徴のような存在となった。が、今、その象徴が失われつつある……。

そこで、さまざまな立場の人に話を聞くと、「家族手当」という制度には賛否両論あり、その議論が一部でかなりヒートアップしていることが分かった。

例えば、同じ30代男性社員でも、結婚しているか否かで言い分は180度異なる。