打ち上げ花火のように一瞬華やかに見えても、すぐに消え去っていく成金たち。彼らの生態と没落していくその理由を探る。

本物の金持ち、富裕層と呼ばれる人は一体どのくらいいるのか。著書の『資産フライト』で富裕層のマネーマネジメントの実態をつぶさに紹介したジャーナリストの山田順さんは、次のように見ている。

「有名なキャップジェミニの調査は、富裕層をミリオンダラー(100万ドル)以上の投資可能資産を保有する人としていて、10年時点では全世界で1090万人でした。そのうち日本は173万9000人。でも100万ドルは現在の為替レートで約1億円。むしろワンランク上のビリオンダラー(10億ドル)、1000億円以上の資産家を想定して考えるべきでしょう。そうすると米国で3000人、英国だと1100人、日本はせいぜい200人でしょう」

資産1000億円以上といえば、まさしく“スーパーリッチ”で、それだけお金があると、その後は人生を楽しむことが第一の目的になる。すると彼らの生活が徐々に一体化し、スーパーリッチのネットワークが自然と形成されていくことに山田さんは注目する。

「彼らは毎年1月末にスイスのダボスで開催される世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に集まります。その後、近くにある自分たちの山荘でパーティーを楽しむのです。そこから1年のカレンダーが始まって、カンヌ映画祭、パリ・コレクションなど世界各地で開催されるイベントに順次参加します。そして最後に、米国の高級リゾート地・アスペンなどに集まってクリスマスを過ごします。そうした輪のなかでビッグビジネスなどの物事が決まっていくのです」

ダボス会議について興味深いエピソードがある。スーパーリッチが一堂に会すパーティーに、ある日本の大手企業の経営者が参加して、出されたワインについてソムリエに文句をつけた。すると周囲の人は白い目を向け、それ以降その経営者は誰にも相手にされなくなった。ソムリエは自分たちを楽しませてくれる“仲間”というのが彼らの共通認識。それを罵倒するのは、最低限の教養もない人間の行為なのだ。ちょっとした振る舞いで、マナーの底の浅さが見透かされる怖い話である。